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DUCATI、「Superquadroエンジン」を発表
2011年10月10日
195馬力というツインシリンダー史上最高出力値を実現した次期スーパーバイク1199Panigaleに搭載
2012 Ducati 1199 Panigale に搭載の「Superquadro」エンジンを発表

史上最高を誇る究極のベンチマーク
エンジニアリング面での数々の難関を乗り越え、未来派のスーパーバイクを実現したドゥカティの最新エンジン、それが「Superquadro(スーパークアドロ)」だ。設計への妥協なきアプローチが、イタリアン・バイクメーカーならではの斬新さと融合した結果、史上最高のスタンダードとなるエンジンがついに完成。スーパーバイクエンジンの長きに渡る象徴的な歴史において、Superquadroはひとつの金字塔として君臨する。
Ducati 1199 Panigale(ドゥカティ 1199 パニガーレ)の次世代型スーパーバイクエンジンの設計条件を現実化することは、ドゥカティのエンジニア達にとって至難の技であった。彼らは、出力、トルク、利便性をすべて向上させながら車両重量と定期保守コストを削減するという無理難題を突き付けられながらも、すべての設計を白紙の状態から一任され、「不可能を可能にするための型破りな発想」を求められたことで、最終的にすべての目標を達成したのである。
Superquadroという名称は、ボア・ストローク比を極端なオーバースクエアに設定したことに由来する。この画期的なエンジンの最大トルクは13.5kgm、そして最大出力はツインシリンダー史上最高値の195HPとなる。ライダーのスタイルと走行状況に合わせてパワーコントロールを行う「ライディングモード」も備えており、操作性にも配慮している。また、独自のエンジン構造により、車両重量の大幅な削減をも実現。さらに、完璧なマシンパフォーマンスに対するドゥカティの飽くなき追求が身を結び、主要サービスインターバルは24,000km毎の実施で済むようになった。
従来のエンジン構造を踏襲しているのは、ファビオ・タリオーニの傑作である「90°L型ツイン」構造と、デスモドロミック・バルブコントロール機構のみ。その他はすべて刷新されている。
エンジンの基本構造
車両全体のレイアウト、重量配分、強度を可能な限り完璧に近づけるため、Superquadroエンジンでは構造を一から見直し、シャーシ構造体のフルストレスメンバーとなる設計が施された。両シリンダーは、90°の挟み角度を保ちつつ、クランクケースを軸に6°後傾し、結果、フロントシリンダーの角度は水平面に対して21°となる。この設計によりエンジンを前方に32mmスライドさせる事が可能となり、前後重量バランスは向上し、1199 Panigaleのモノコックフレームに接合されるシリンダーヘッドの位置も最適化できた。

クランクケースは、Vacural®テクノロジーの真空ダイキャストを採用しており、大幅な軽量化と肉厚の均一化、および強度の向上を実現。また、シリンダーのアウターウォータージャケット部をクランクケースと一体構造化したことで、シリンダーベースに存在していたクランクケース接合面は不要となり、その構造を現実化する為に、クランクケース開口部から挿入される、ニカジルメッキを施したアルミニウム製「ウェットライナー」を装着している。このデザインは、シリンダーヘッドをクランクケースに対してダイレクトに固定する事で密閉性を高め、薄いシリンダーライナーから放出される熱を周囲の冷却水に直接放散できるのだ。
プライマリドライブギアケース、クラッチケースとアウターカバー、オイルサンプカバー、カムカバーはマグネシウム合金製で、軽量エンジンを具現化しながら、シャーシ構造体としての強度を高めている。
クランクシャフトベアリングにプレーンベアリングを採用したことも、クランクケースの新たな特徴だ。このベアリングは従来、デスモセディチRRエンジンにのみ導入されたものである。ローラーベアリングをプレーンベアリングに置換したことで、クランクジャーナルを大径化して剛性を高め、メインベアリング周囲のクランクケース強度を増し、Superquadroの並外れたパワーに耐えうる構造を得ることができた。またプレーンベアリングの場合、メインベアリングピラー内部にドリリングされたポートからオイルが圧送供給されるため、クランクシャフトは常に十分に潤滑される。供給されたオイルは、新たに導入したドゥカティエンジンの特徴と言えるMotoGP仕様の高性能バキュームポンプによって、オイルサンプへと素早く回収される。
バキュームポンプは、メインオイルポンプシャフトを動力源に、ピストン直下のクランクケースの内圧を効率的かつ安定的に下げてピストンのダウンストローク時に発生する空気抵抗を減らし、エンジンのブリーザーを制御する。
究極のディメンション
ドゥカティとドゥカティ・コルセのエンジニアは、L型ツインエンジンであるSuperquadroのパワーを引き出すため、112mm x 60.8mm という並外れたボア・ストローク値によって、エンジンの高速回転化と吸排気効率の向上を現実のものとした。パワーとライディング性能を入念に研究した結果、Superquadroの最大出力は195HP/10,750rpm、最大トルクは13.5kgm/9,000rpmにまで上昇。クランクシャフトのストロークを極端なまでに短くしたことで、ボア・ストローク比はかつてない1.84:1となり、エンジン回転の飛躍的向上をもたらす。また、シリンダーボアの増加に伴い、吸気バルブ径は43.5mmから46.8mmに、排気バルブ径は34.5mmから38.2mmにそれぞれ大径化する事が可能となった。
径の大きい吸気バルブが高回転で作動すると、強い慣性力が発生する。この対策として、吸気バルブはスチール製ではなく、これまで「R」モデルにのみ導入していたチタン製バルブを採用。吸排気バルブは、いずれもレーシング仕様のロッカーアームが駆動する。ロッカーアームには、摩耗と疲労に強い「スーパーフィニッシュ」仕上げのほか、航空宇宙分野で開発された高分子カーボン(PLC)をコーティングしている。
レーシングテクノロジーの産物であるSuperquadroエンジンピストンは、アンダークラウンにダブルリブという独特の加工を施して強度を確保するとともに、ピストンスカート面積の最小化によって低フリクション化を実現した。ボア径112mmのピストンが高回転域でも正常に作動できるのは、ドゥカティ・コルセが独自開発したテクノロジーの賜物である。
吸気バルブを大径化し、さらには楕円スロットルボディの相当直径を63.9mmから67.5mmに増やしてハイフロー化を実現したことで、エンジンの充填効率は大幅に向上した。ライドバイワイヤシステムのスロットルボディはシリンダー毎に2本設けられたインジェクター(1本はバタフライバルブの下流側に配置されエンジンのフレキシビリティを確保し、もう1本は瞬発力を引き出すために上流側に設置)と共に吸入エアを供給する。
エンジンの低公害性
Superquadroの設計担当エンジニアにとって、吸気の充填効率が高まったエンジンのスムーズな作動と排ガス対策を両立させる燃料マッピングを実現することは、困難を極める仕事であった。この達成に向けて、Superquadroでは2次エア供給システムを導入。2次エア供給システムとは、未燃焼のHC(炭化水素)を完全燃焼させてHCとCO(一酸化炭素)の排出量を効果的に削減する装置だ。エンジンの電子制御装置がラムダセンサーとスロットルセンサーから特定の信号を検知すると、2次エア供給システムを作動させてバルブが開き、清浄なエアがメインエアボックスから各シリンダーヘッドのリードバルブへと流れ込み、エアギャラリーを通じて排気バルブ付近の排気ポートへ供給される。排気ガスの温度が最高レベルに達すると、清浄エアの供給によって燃焼効率が高まるため、特定状況下における排気サイクル中の未燃焼ガスが大気放出される事を防ぐことができる。

デスモドロミック
ドゥカティ独自のデスモドロミックシステムがこれほどまでに重要な意味を持つエンジンは、かつてなかったであろう。Superquadroのように高速で回転し、しかもバルブ径が大きいエンジンでは、通常のスプリング式バルブとロッカーアームでカムローブの急激なクロージングプロファイルに追従することは不可能だ。デスモシステムならば、バルブを開く同じ要領・精密さで機械的にバルブを閉じるため、急激なカムプロファイル、ラジカルなカムタイミング、バルブの大径化、エンジンの高速化をすべて実現できる。デスモシステムは、今やすべてのドゥカティバイクに採用されており、その実績は世界選手権を制したドゥカティ・コルセ製スーパーバイクや、デスモセディチMotoGPバイクで証明済みだ。
精密なパワー
精密なデスモドロミックシステムで大径バルブをコントロールするに際し、担当エンジニアは、1979年登場のDucati Pantah以来継続してきたベルトドライブ方式に代わって、チェーン・ギアドライブ方式を導入する決断を下した。Superquadroでは、従来型のブッシュチェーンがクランクシャフトとシリンダーヘッドのスプロケット
を連係する。このスプロケットは吸気側カムシャフトと排気側カムシャフトの間に1つだけ設けられており、専用のショートシャフトでギアホイールの背後に固定されている。ギアホイールは、吸気側カムシャフトと排気側カムシャフトの末端にあるギアとかみ合う。これらのギアはアジャスタブル構造を持ち、カムタイミングの精密調整が可能だ。
カムチェーンには、2点駆動なので効率性が高い、張力が自動調整されるためにいつも安心して使用できる、定期的な保守コストを削減できる、などの様々なメリットがあるのだ。
排気側カムドライブギアの末端には、遠心フライウエイトが備わっている。エンジン速度がアイドリング未満の場合には、遠心フライウエイトが収縮して同心カムの突起部を回転させるため、吸気バルブが一定量だけ解放され、デコンプの役割を果たすようになる。この巧妙な機構によって、大容量のバッテリーとスターターモーターを使わずともSuperquadroを始動できるようになり、結果的に車両重量を約3.3kg削減することができた。エンジンが始動し、カムシャフトがアイドリング速度で回転し始めると、遠心フライウエイトが飛び出て突起部をカムの内部へと後退させ、バルブは完全に閉じるようになる。この画期的な機能は、デザイナーとエンジニアの軽量化に対する一途な努力の現われと言えよう。
「先日公開されたPanigale1199」
新型トランスミッション
またエンジニアは、エンジンの強力なパワーを十分に伝達するため、「白紙の状態」から設計を任されたチャンスを活かして、6速ギアボックスのメイン・カウンタ-シャフトの中心間距離を広げてギアの大径化と強化を実現した。ドゥカティの最上級モデルであるスーパーバイクの新たな目玉のひとつが、湿式(ウェット)クラッチである。クラッチのデザイン自体はムルティストラーダやディアベルのそれに近いが、特徴的なのは「スリッパー」機能。エンジンが駆動力を伝達している際にクラッチプレートの圧着を強める「プログレッシブ・セルフサーボメカニズム」によって、摩擦効率が向上し、その一方でクラッチレバーを軽くしてライダーの負担を減らすことができるのだ。駆動力が逆転した場合(エンジンブレーキ時)には、クラッチプレートの圧着力を低下させてレーシングマシンのような「スリッパークラッチ」機能を作動させ、急激なシフトダウン時に起こりやすいリアエンドの挙動の乱れを軽減する。また、通常走行時にも、スロットルを戻したりシフトダウンする際には、より滑らかなフィーリングをライダーに与える。
完璧なるパフォーマンス
レースはドゥカティの礎である。ドゥカティは、常にレースに参戦し、それを己の物差しにしてきた。レースは、勝利への飽くなき願望が一種のライフスタイルとなっている人たちにとってはモチベーションの源であるが、デザイナーとエンジニアにとっては、自己修養の場に他ならない。世界で最もパワフルなツインシリンダーエンジン、Superquadroは今、新登場のDucati 1199 Panigaleに完全無欠のパワーを吹き込もうとしている。
2012 Ducati 1199 Panigale に搭載の「Superquadro」エンジンを発表

史上最高を誇る究極のベンチマーク
エンジニアリング面での数々の難関を乗り越え、未来派のスーパーバイクを実現したドゥカティの最新エンジン、それが「Superquadro(スーパークアドロ)」だ。設計への妥協なきアプローチが、イタリアン・バイクメーカーならではの斬新さと融合した結果、史上最高のスタンダードとなるエンジンがついに完成。スーパーバイクエンジンの長きに渡る象徴的な歴史において、Superquadroはひとつの金字塔として君臨する。
Ducati 1199 Panigale(ドゥカティ 1199 パニガーレ)の次世代型スーパーバイクエンジンの設計条件を現実化することは、ドゥカティのエンジニア達にとって至難の技であった。彼らは、出力、トルク、利便性をすべて向上させながら車両重量と定期保守コストを削減するという無理難題を突き付けられながらも、すべての設計を白紙の状態から一任され、「不可能を可能にするための型破りな発想」を求められたことで、最終的にすべての目標を達成したのである。
Superquadroという名称は、ボア・ストローク比を極端なオーバースクエアに設定したことに由来する。この画期的なエンジンの最大トルクは13.5kgm、そして最大出力はツインシリンダー史上最高値の195HPとなる。ライダーのスタイルと走行状況に合わせてパワーコントロールを行う「ライディングモード」も備えており、操作性にも配慮している。また、独自のエンジン構造により、車両重量の大幅な削減をも実現。さらに、完璧なマシンパフォーマンスに対するドゥカティの飽くなき追求が身を結び、主要サービスインターバルは24,000km毎の実施で済むようになった。
従来のエンジン構造を踏襲しているのは、ファビオ・タリオーニの傑作である「90°L型ツイン」構造と、デスモドロミック・バルブコントロール機構のみ。その他はすべて刷新されている。
エンジンの基本構造
車両全体のレイアウト、重量配分、強度を可能な限り完璧に近づけるため、Superquadroエンジンでは構造を一から見直し、シャーシ構造体のフルストレスメンバーとなる設計が施された。両シリンダーは、90°の挟み角度を保ちつつ、クランクケースを軸に6°後傾し、結果、フロントシリンダーの角度は水平面に対して21°となる。この設計によりエンジンを前方に32mmスライドさせる事が可能となり、前後重量バランスは向上し、1199 Panigaleのモノコックフレームに接合されるシリンダーヘッドの位置も最適化できた。

クランクケースは、Vacural®テクノロジーの真空ダイキャストを採用しており、大幅な軽量化と肉厚の均一化、および強度の向上を実現。また、シリンダーのアウターウォータージャケット部をクランクケースと一体構造化したことで、シリンダーベースに存在していたクランクケース接合面は不要となり、その構造を現実化する為に、クランクケース開口部から挿入される、ニカジルメッキを施したアルミニウム製「ウェットライナー」を装着している。このデザインは、シリンダーヘッドをクランクケースに対してダイレクトに固定する事で密閉性を高め、薄いシリンダーライナーから放出される熱を周囲の冷却水に直接放散できるのだ。
プライマリドライブギアケース、クラッチケースとアウターカバー、オイルサンプカバー、カムカバーはマグネシウム合金製で、軽量エンジンを具現化しながら、シャーシ構造体としての強度を高めている。
クランクシャフトベアリングにプレーンベアリングを採用したことも、クランクケースの新たな特徴だ。このベアリングは従来、デスモセディチRRエンジンにのみ導入されたものである。ローラーベアリングをプレーンベアリングに置換したことで、クランクジャーナルを大径化して剛性を高め、メインベアリング周囲のクランクケース強度を増し、Superquadroの並外れたパワーに耐えうる構造を得ることができた。またプレーンベアリングの場合、メインベアリングピラー内部にドリリングされたポートからオイルが圧送供給されるため、クランクシャフトは常に十分に潤滑される。供給されたオイルは、新たに導入したドゥカティエンジンの特徴と言えるMotoGP仕様の高性能バキュームポンプによって、オイルサンプへと素早く回収される。
バキュームポンプは、メインオイルポンプシャフトを動力源に、ピストン直下のクランクケースの内圧を効率的かつ安定的に下げてピストンのダウンストローク時に発生する空気抵抗を減らし、エンジンのブリーザーを制御する。
究極のディメンション
ドゥカティとドゥカティ・コルセのエンジニアは、L型ツインエンジンであるSuperquadroのパワーを引き出すため、112mm x 60.8mm という並外れたボア・ストローク値によって、エンジンの高速回転化と吸排気効率の向上を現実のものとした。パワーとライディング性能を入念に研究した結果、Superquadroの最大出力は195HP/10,750rpm、最大トルクは13.5kgm/9,000rpmにまで上昇。クランクシャフトのストロークを極端なまでに短くしたことで、ボア・ストローク比はかつてない1.84:1となり、エンジン回転の飛躍的向上をもたらす。また、シリンダーボアの増加に伴い、吸気バルブ径は43.5mmから46.8mmに、排気バルブ径は34.5mmから38.2mmにそれぞれ大径化する事が可能となった。
径の大きい吸気バルブが高回転で作動すると、強い慣性力が発生する。この対策として、吸気バルブはスチール製ではなく、これまで「R」モデルにのみ導入していたチタン製バルブを採用。吸排気バルブは、いずれもレーシング仕様のロッカーアームが駆動する。ロッカーアームには、摩耗と疲労に強い「スーパーフィニッシュ」仕上げのほか、航空宇宙分野で開発された高分子カーボン(PLC)をコーティングしている。
レーシングテクノロジーの産物であるSuperquadroエンジンピストンは、アンダークラウンにダブルリブという独特の加工を施して強度を確保するとともに、ピストンスカート面積の最小化によって低フリクション化を実現した。ボア径112mmのピストンが高回転域でも正常に作動できるのは、ドゥカティ・コルセが独自開発したテクノロジーの賜物である。
吸気バルブを大径化し、さらには楕円スロットルボディの相当直径を63.9mmから67.5mmに増やしてハイフロー化を実現したことで、エンジンの充填効率は大幅に向上した。ライドバイワイヤシステムのスロットルボディはシリンダー毎に2本設けられたインジェクター(1本はバタフライバルブの下流側に配置されエンジンのフレキシビリティを確保し、もう1本は瞬発力を引き出すために上流側に設置)と共に吸入エアを供給する。
エンジンの低公害性
Superquadroの設計担当エンジニアにとって、吸気の充填効率が高まったエンジンのスムーズな作動と排ガス対策を両立させる燃料マッピングを実現することは、困難を極める仕事であった。この達成に向けて、Superquadroでは2次エア供給システムを導入。2次エア供給システムとは、未燃焼のHC(炭化水素)を完全燃焼させてHCとCO(一酸化炭素)の排出量を効果的に削減する装置だ。エンジンの電子制御装置がラムダセンサーとスロットルセンサーから特定の信号を検知すると、2次エア供給システムを作動させてバルブが開き、清浄なエアがメインエアボックスから各シリンダーヘッドのリードバルブへと流れ込み、エアギャラリーを通じて排気バルブ付近の排気ポートへ供給される。排気ガスの温度が最高レベルに達すると、清浄エアの供給によって燃焼効率が高まるため、特定状況下における排気サイクル中の未燃焼ガスが大気放出される事を防ぐことができる。

デスモドロミック
ドゥカティ独自のデスモドロミックシステムがこれほどまでに重要な意味を持つエンジンは、かつてなかったであろう。Superquadroのように高速で回転し、しかもバルブ径が大きいエンジンでは、通常のスプリング式バルブとロッカーアームでカムローブの急激なクロージングプロファイルに追従することは不可能だ。デスモシステムならば、バルブを開く同じ要領・精密さで機械的にバルブを閉じるため、急激なカムプロファイル、ラジカルなカムタイミング、バルブの大径化、エンジンの高速化をすべて実現できる。デスモシステムは、今やすべてのドゥカティバイクに採用されており、その実績は世界選手権を制したドゥカティ・コルセ製スーパーバイクや、デスモセディチMotoGPバイクで証明済みだ。
精密なパワー
精密なデスモドロミックシステムで大径バルブをコントロールするに際し、担当エンジニアは、1979年登場のDucati Pantah以来継続してきたベルトドライブ方式に代わって、チェーン・ギアドライブ方式を導入する決断を下した。Superquadroでは、従来型のブッシュチェーンがクランクシャフトとシリンダーヘッドのスプロケット
を連係する。このスプロケットは吸気側カムシャフトと排気側カムシャフトの間に1つだけ設けられており、専用のショートシャフトでギアホイールの背後に固定されている。ギアホイールは、吸気側カムシャフトと排気側カムシャフトの末端にあるギアとかみ合う。これらのギアはアジャスタブル構造を持ち、カムタイミングの精密調整が可能だ。
カムチェーンには、2点駆動なので効率性が高い、張力が自動調整されるためにいつも安心して使用できる、定期的な保守コストを削減できる、などの様々なメリットがあるのだ。
排気側カムドライブギアの末端には、遠心フライウエイトが備わっている。エンジン速度がアイドリング未満の場合には、遠心フライウエイトが収縮して同心カムの突起部を回転させるため、吸気バルブが一定量だけ解放され、デコンプの役割を果たすようになる。この巧妙な機構によって、大容量のバッテリーとスターターモーターを使わずともSuperquadroを始動できるようになり、結果的に車両重量を約3.3kg削減することができた。エンジンが始動し、カムシャフトがアイドリング速度で回転し始めると、遠心フライウエイトが飛び出て突起部をカムの内部へと後退させ、バルブは完全に閉じるようになる。この画期的な機能は、デザイナーとエンジニアの軽量化に対する一途な努力の現われと言えよう。

新型トランスミッション
またエンジニアは、エンジンの強力なパワーを十分に伝達するため、「白紙の状態」から設計を任されたチャンスを活かして、6速ギアボックスのメイン・カウンタ-シャフトの中心間距離を広げてギアの大径化と強化を実現した。ドゥカティの最上級モデルであるスーパーバイクの新たな目玉のひとつが、湿式(ウェット)クラッチである。クラッチのデザイン自体はムルティストラーダやディアベルのそれに近いが、特徴的なのは「スリッパー」機能。エンジンが駆動力を伝達している際にクラッチプレートの圧着を強める「プログレッシブ・セルフサーボメカニズム」によって、摩擦効率が向上し、その一方でクラッチレバーを軽くしてライダーの負担を減らすことができるのだ。駆動力が逆転した場合(エンジンブレーキ時)には、クラッチプレートの圧着力を低下させてレーシングマシンのような「スリッパークラッチ」機能を作動させ、急激なシフトダウン時に起こりやすいリアエンドの挙動の乱れを軽減する。また、通常走行時にも、スロットルを戻したりシフトダウンする際には、より滑らかなフィーリングをライダーに与える。
完璧なるパフォーマンス
レースはドゥカティの礎である。ドゥカティは、常にレースに参戦し、それを己の物差しにしてきた。レースは、勝利への飽くなき願望が一種のライフスタイルとなっている人たちにとってはモチベーションの源であるが、デザイナーとエンジニアにとっては、自己修養の場に他ならない。世界で最もパワフルなツインシリンダーエンジン、Superquadroは今、新登場のDucati 1199 Panigaleに完全無欠のパワーを吹き込もうとしている。
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